日本版NCAAに思うこと(個人的な私感)

近年、米国版NCAA創設に向けていろいろと慌ただしくなってまいりました。そんな私も本学の責任者??(いろいろと飛ばして責任者的な…)になっているらしく、大学体育連合、スポーツ庁、電通、その他関係各所と連携して本腰を入れ始めたところです。

私も数年前、米国の大学院に留学していた際に大学のAthletic Department(スポーツ局)で働かせていただいた経験がございます。男子バスケットボールチームについて全米中をドサ周りしていたわけですが、とにかくアメリカは広い…。遠征でも飛行機を使い試合に行ってました…。ホーム&アウェイが基本でリーグ戦中は3日に1回は飛行機やバスに乗って移動していたような気がします。そして疲れ切っていました…。しかし、試合になると、1万人を超える観客を目の前にチームと一丸となって戦うシーンは今でも昨日のことのように覚えており、試合中に味わった経験は今でも忘れない刺激的なものでした。

さて、NCAAのビジネス性によく目が向けられますが、教育はどうか…日本では「NCAAのようにしっかりとした規則・ルールがあると日本の大学生も学業とスポーツをしっかり両立できるようになる」なんていう意見がよく出ていることを耳にしますが、これは米国のシステムが学生アスリートは一定の学業水準が無ければプレーすることができないという基準をつくり、NCAAの規則で奨学金等の基準などを詳細に決定しているから成り立っているものであると思います。日本の場合はどうか、まず、大学に入学する時点で米国と違います。まず、トップアスリートの高校生…ある私立大学では月に数十万円のお小遣いと奨学金、生活費すべてを出す代わりに大学に籍を置いてもらう。もちろん、筆記や試験はほとんどなく顔パスで入試を通過…。次にトップに次ぐ全国大会入賞レベルの高校生…入試なし、高校の学業成績関係なし、全額奨学金で大学に入学…。これが現実です。そして、こんなことをしている日本で本当にNCAAのような規則を設け、大学スポーツを統一化できるのか…。疑問であるのと同時にもう一つ…

アメリカの大学スポーツシステムがものすごい賞賛されているようですが、私が在籍していたチームでもGPAを上げるために私が選手の代わりに試験を受けたこともあります(オンライン授業)。米国の大学スポーツも商業化が進みすぎて、学生アスリートのレベルはStudentレベルにないこともしばしばです。これからどうなるか…。責任者?として否定ばかりはしていられない状況です。

萩原悟一研究室

鹿児島県鹿屋市に所在する国立大学法人鹿屋体育大学の萩原研究室です。文系学部出身で大学院をスポーツマネジメント,工学系と渡り歩き何でも屋になりつつある研究室です。